三間飛車、四間飛車、中飛車…と振り飛車の種類は多くありますが、

それぞれにどのような戦法を指せば勝ちやすいか、知っていますか?

 

今回は2019年8月1日から2020年3月31日までに指された公式戦のうち、

モバイル中継で配信されたものを調査してきました!

そこから勝率を割り出して検証していきたいと思います!

勝ちやすい戦法をランキング順に書いていくのでぜひ見ていってください!

 

今回は三間飛車中飛車編です!

四間飛車向かい飛車編はまた日を改めて出します!

 

 

三間飛車

 

調査局は78局。

 

 

 

 

第1位 穴熊 15勝11敗

 

三間飛車に一番勝ちやすい囲いは穴熊です!

ですが穴熊の中でも勝ちやすい形は決まっていて

 

穴熊

 

この形以外は三間飛車の方が勝率が良かったです。

ここからは▲5五歩や▲6八角など指していきます。

方針としては三間飛車側に攻めさせてカウンターを狙うといった感じです。

 

この形は穴熊側が後手の場合でも使うので類似形がたくさん出現しています。

この局面は奨励会でも数多く指されており、三間飛車側の研究課題と言われているんですよ。

 

第2位 左美濃 17勝14敗

 

二番目に勝ちやすい囲いは左美濃です。

これも勝ちやすい形が決まっていて、

 

左美濃

 

この形以外は居飛車の勝率があまり良くありませんでした。

現代流の左美濃は▲4六銀~▲6八角を急ぐことによって、

石田流に組ませないようにするのがポイントです。

 

石田流に組まれなければ3筋の交換はされても大丈夫です。

もし三間飛車側が左美濃の動きに反発してこなければ

▲3五銀~▲2四歩と棒銀で攻めて良しです!

 

これもやはり先後の違いがありますので、対局によって展開が大きく異なります。

三間飛車側は押さえつけようとしてくる左美濃にうまく戦いを仕掛けられるか、

工夫が求められる形です。

 

第3位 ▲4六歩型急戦 2勝3敗

 

負け越しではありますが非常に有力な戦法です。

聞いたことのない方もいると思うのでこれも形を挙げておきます。

 

▲4六歩型急戦

 

どこにでもありそうな形ですが、ここから△3二金▲4四歩△同銀▲4六歩

とするのが新工夫。

敢えて▲4五歩は打ちません。

 

陣形を整えながら隙を見て攻めようというのがこの形の主張です。

実際に▲4六歩~▲4七銀と上がられると、

いつでも▲4五歩or▲4五桂の筋があるので後手は駒組みに苦労するんですよ。

 

ただ、居飛車側も囲いを発展しにくいというデメリットはあります。

一長一短ですね。

 

第4位 elmo囲いと天守閣美濃 1勝2敗

 

意外にも今年升田幸三賞を受賞したelmo囲いは勝率があまり良くありませんでした。

天守閣美濃も非常に優れた戦法なのですが結果は負け越し。

ですがこれはたまたまだと思います。

2つとも2年前くらいはかなり採用されていましたから。

 

elmo囲い

 

天守閣美濃

 

elmo囲いは▲4六歩~▲4五歩と▲4六銀~▲3五歩の2つの攻め方があります。

どちらも難解な将棋になりますね。攻めが刺されば一発KOです!

ちなみに奨励会ではelmo囲いが指されることはほとんどありませんね。

なぜでしょう? 残念ながら理由は私にもわかりません(>_<)

 

天守閣美濃は左美濃と同じ美濃囲いですが、のちの展開が全く異なります。

左美濃は急戦調ですが、天守閣美濃は完全な持久戦です。

上の局面からは▲9八玉、▲8七銀、▲7八金と米長玉に発展させていきます。

 

天守閣美濃は非常に古くからある囲いですが、

なぜ現代将棋に復活したのかよくわかっていません。

 

ここからはただの推測ですが、天守閣美濃は戦いを起こしにくい、起こされにくい

といった特徴があるので後手で採用すれば千日手を狙える。

そういう思惑があって使われているのではないのでしょうか?

 

その他 3勝7敗

 

その他は1局以下だったものを指します。

意外にもこの中にはミレニアムや棒銀などが含まれていました。

これらもアマチュア間では人気の戦法なので少し驚きましたね。

他には5筋位取りだったり、戦法名のない形が入っています。

 

 

中飛車(ゴキゲン中飛車も含む)

 

調査局は81局

 

 

 

 

第1位 ミレニアム 3勝1敗

 

中飛車に一番勝ちやすいのはミレニアムでした!

三間飛車の時と同じく局数は少ないものの、やはり有力な作戦なのでしょう。

 

ミレニアム(別名三浦囲い、トーチカ囲い、かまぼこ囲い)

 

ミレニアムは2000年頃、三浦弘行九段(当時六段)が

愛用していたことから当時大流行しました。

もともとミレニアムはノーマル三間、四間に使う戦法でしたが、

現代では角道の止まっていない中飛車にも応用されるようになりました。

 

ポイントとしては早い段階で角を交換し、▲6六銀を上がることです。

そうすれば飛車先を交換できなくなるので中飛車側から動くことはできなくなります。

 

結果、上の局面のようなまったりとした戦いになるでしょう。

ミレニアム側はここまで組むのに神経を使いますが、

組み終えればその堅陣を生かして戦うことができます。

勝率が高い理由もここにあるのでしょう。

 

第2位 佐々木(大地)流急戦 2勝1敗

 

聞き慣れない戦法ですよね。

まずは見てみましょう。

 

佐々木流急戦

 

一見、ありがちな形ですが、よく見るとお気づきでしょうか?

居飛車は飛車先を突いていません。実はこれが佐々木流急戦の特徴なんです。

なんとこのまま飛車先を突くことはありません。

ここから▲3七銀~▲4六銀と指し、飛車は3筋で使っていきます。

 

中飛車側はそうなると、押さえ込まれてしまうので面白くありません。

▲3七銀には勢いよく△5六歩から仕掛けていきます。

以下、▲2二角成△同銀▲5六歩△同飛▲4六銀と進みます。

 

ですが佐々木流急戦の真骨頂はこの先にあります。

手数が長いので省略しますが、なんとこの後に▲5八飛と逆襲を狙うんです!

 

逆襲の図

 

ここから▲4五桂~▲5四歩を狙い、場合によっては▲7七桂~▲6五桂とも指していきます。

……なんというか、自由度の高い戦法ですよね(笑)

そんな佐々木流急戦ですが、残念なことに佐々木大地五段しか指している棋士がいません。

奨励会では既に有力な戦法として頻繁に使われているので

棋士界でももっと採用者が増えればいいなと思います。

 

第3位 左美濃 7勝7敗 と 穴熊 6勝6敗

 

三間飛車には猛威を振るっていた左美濃と穴熊ですが、

中飛車に対してはなかなかに良い勝負のようです。

 

形は以下の通りです。

 

左美濃

 

 

穴熊

 

左美濃にする場合は角道を突くタイミングに気をつけましょう。

もし中飛車側の銀が△5四にいる時に角道が突いてあると、

△6五銀から歩を狙われてしまいます。

早めに▲4六銀から急戦を匂わせると、中飛車側は仕掛けを封じるために△4四銀とします。

そうして銀を△5四へ持って来れなくしてから角道を開けるようにしましょう。

この後は▲7六歩、▲6六歩、▲6七金と組んで互角です。

 

穴熊のこの形は何年も前からある形です。

中飛車側の攻めをうまく振り切ってカウンターを狙う将棋ですね。

ここから中飛車側は△7五歩~△7二飛や△5四飛~△4四飛など色々指し方があります。

△6四に銀を上がらず、△6二に引く指し方もあります。

 

それに対し居飛車はとにかく固めるだけ。分かりやすくていいですよね。

ただ、一つポイントがあって、

居飛車は角頭を攻められた時に

▲8八角と引けるよう、▲8八銀を省略しなければいけません。

▲6八方面に角を引くと、

△5六歩で中飛車側の角が王様を直視することになるので危ないですね。

 

それだけ気をつければ優秀な戦法だと思います。

 

第4位 ゴキ中急戦 4勝8敗

 

昔からあるゴキゲン中飛車に対する急戦。

ですが最近はやや勝ちづらい印象を受けます。

理由は攻め味があまりないのと、玉が薄いからだと思います。

実際に形を見ていきましょう。

 

ゴキ中急戦

 

懐かしい形ですね。

定跡がかなり奥深く、私も5、6年前はこの形をたくさん勉強してたくさん指しました。

棋士の先生方は私の数倍、数十倍この形を見てきたことでしょう。思い入れのある形です。

しかし、現代将棋は日々進歩しています。

いくら好きな形でも勝てなければ生き残れないこの世界。

厳しいですよね。

 

ここから定跡は△2二角▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛

△1四歩▲1六歩△5一飛▲6八金上△3三桂(第1図)と進んでいきます。

 

第1図

 

さらにそこから▲同桂成△同角▲3九飛としてどうか。

形勢はまだ互角なのですが、

いつでも△5四桂から銀の両取りがかかってしまうので先手は実戦的には勝ちづらいですね。

アマの方にはあまりオススメしません。

 

その他 18勝18敗

 

驚いたことにその他だけで合計36局もあるんですよね(^_^;)

しかも全て違う戦法。おまけに無名の戦法ばかり。

ここではとてもじゃないですが紹介しきれません(笑)

なぜこれほどまでに無名の戦法が多くあるのでしょうか。

 

実は現代将棋において、中飛車は相当に強い戦法なのです。

もともと中飛車は将棋の代表格とも言える戦法でしたが、

最近はそれにソフト研究が加わったために恐ろしい力を秘めた戦法になりました。

 

少しオーバーに言っているように感じられるかもしれませんが事実です。

ここ最近、実際に振り飛車党が中飛車党になるケースを多く見てきました。

 

「従来の指し方では中飛車の手に対応できない」

そう思い始めている居飛車側も増えています。それは【その他 18勝18敗】が示す通り。

中飛車を倒すには新しい形が必要なんです。それを棋士の先生方は毎日模索している。

 

少々堅苦しいお話しをしてしまいましたね。

将棋は序盤で終わるゲームではありません。結局は終盤勝負です。

皆さんはどうか自分の好きな形で将棋を楽しんでください。

 

まとめ

 

三間飛車に勝ちやすい戦法

 

1位 「穴熊」

2位 「左美濃」

3位 「▲4六歩型急戦」

4位 「elmo囲い」、「天守閣美濃」

 

中飛車に勝ちやすい戦法

 

1位 「ミレニアム」

2位 「佐々木流急戦」

3位 「左美濃」、「穴熊」

4位 「ゴキ中急戦」

 

いががでしたでしょうか?

次回は四間飛車向かい飛車編です!

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